「痩せる汗」と「太る汗」?知っておくべき汗をかく方法と3つの効果

コッツフォード良枝

コッツフォード良枝 銀座禅クリニック院長

銀座禅クリニック院長。 2007年山梨大学医学部卒業、その後国際医療センター国府台病院で初期研修。研修後は日本医科大学麻酔科に入局し勤務。 その後大手美容クリニック勤務ののち、一般皮膚科、美容皮膚科などの勤務、院長勤務などを経て現在は銀座禅クリニック院長。 人が持つ本来の美しさを引き出すことをモットーに、たくさんの患者の様々な皮膚と真剣に向き合う。
「痩せる汗と太る汗があるって聞いたけど本当?」
「痩せる汗をかくためにはどうしたらいいの?」

このようなことでお悩みではありませんか?
実は汗には「痩せる汗」と「太りやすい汗」があります。
なんでもいいから汗をかけば痩せるという認識は間違いです。

なぜなら太っている方は痩せている方より汗をかきやすい方が多いです。
ですが、汗をかいているだけで自然に痩せたという方はほとんどいないはずです。
つまり汗をかけば痩せるということはありません。
では痩せる汗をかくためにはどうしたらいいのでしょうか?
この記事では汗をかくことで得られる3つの効果と、いますぐに実践できる痩せる汗をかくための有酸素運動についてご紹介します。

この記事のポイント
  • 痩せる汗をかく方法
  • 汗をかく3つの効果

この記事を読み終えるころにはきっと痩せる汗について理解することができ、汗をかく方法がわかるはずです。
自粛の影響で以前に比べて汗をかく機会が減っているこの機会にぜひ、痩せる汗をかく方法を最後までご覧ください。

運動で上手に痩せる汗をかく方法

運動で上手に痩せる汗をかく方法
効率的に痩せるためには、運動をして良い汗(痩せる汗)をかくことがポイントです。
ここでは運動で上手に痩せる汗をかくための具体的な方法についてご紹介します。

汗は皮膚に残さない

上手に痩せる汗をかくためには、うまく体温調整ができるということが大事です。
しかし、汗が皮膚表面に残ったままにしておくと、さらに体温の低下を招いてしまうことに。
汗をかいたあとにブルブルと震えたり、寒気を感じたりすることがあるように、汗は空気に比べて熱伝導率が高いため、体の熱を奪ってしまいます。
そのため、運動後の汗はこまめにタオルなどで拭くことが大切です。

汗で失った水分を補給する

適度に痩せる汗をかくためには、運動後の発汗で失った水分を早めに補給することが大切です。
汗は血液でできています。
血液を作る水分を適度に補い、発汗と水分補給のサイクルをうまく回していくことが大切です。
また、汗をかく際に多少なりともミネラル成分が失われるため、同時にミネラルも補給できるような飲料を選択すると良いでしょう。

ウェアは機能性と素材に注目して選ぶ

汗を皮膚に残さないためにも、スポーツウェア選びも大切です。
汗がウェア内に残ってしまうことも、身体の冷えにつながってしまいます。
スポーツウェアは速乾性を重視し、通気性のよい素材でできたものを選ぶことが大切です。

今すぐできる有酸素運動はコレ!短時間で汗をかく方法

今すぐできる有酸素運動はコレ!短時間で汗をかく方法
仕事やプライベートなど、何かとやることが多い現代人。
短時間で効率的に汗をかきたいと考えている人も多いはずです。

本格的にやるとどうなる?ジムに行って汗をかきやすくなるとこんな身体の変化が!

本格的にやるとどうなる?ジムに行って汗をかきやすくなるとこんな身体の変化が!
本格的にジム通いをすると身体が引き締まることが期待できるのはもちろんですが、同時に筋肉量が増えるため、代謝もアップします。
これまでなかなか汗をかけなかった体質だった人でも、簡単に汗をかけるようになったと感じている人も実際にいるのです。
また、ジムに通うことによってリラックス効果やストレス解消の効果も得られるため、身体にとってよい変化を感じられるようになります。
これを機にジムで効率的に汗をかくという習慣を始めてみてはいかがでしょうか。

汗をかく意味とメカニズム

汗をかく意味とメカニズム
身体の体温が上昇していくと汗をかくことがありますよね。
では、汗をかくことはそもそも何のために備えられた機能なのでしょうか。
ここでは汗をかく意味に加えて、汗が出る身体のメカニズムについて詳しく解説します。

そもそも汗は何のためにある?

汗は体温調節のために人間に備わっている機能のひとつです。
身体の体温が上昇した際に、体温を下げるために汗をかきます。
逆に汗をかかずに体温が上がったままになると、どうなるのでしょうか。
特に体温は40度を超えてしまうと熱に弱いとされる脳をはじめ、体内にある臓器はその機能を維持することはできません。
体温はもちろん、人の体の「恒常性」が維持されなくなるため、生き延びることが難しくなってしまうのです。
汗をかくという機能は、サルからヒトに進化する過程で備わったとも言われています。
進化の過程で可動域が広がり、活動範囲の拡大に伴って運動量が増えたことで体温が上昇するようになり、上がった体温を下げることが必要となったからなのです。

汗が出る身体のメカニズム

体温が上昇すると汗が出るというメカニズムには脳の自律神経の働きが深く関わっているのです。
まず体温が上昇すると、この情報が知覚神経を介して、興奮として間脳の視床下部に存在する「発汗中枢」に伝わります。
すると発汗中枢から交感神経へと情報が伝達され、全身の汗腺から汗が出る仕組みになっているのです。
つまり、脳からの指令によって汗が出ているため、汗をかくことを自分の意志で止めたり始めたりするということはできません。
また、この自律神経の働きが乱れてしまうと、汗が止まらないなどといった不調がみられます。
当たり前のように汗をかいている私たちですが、このように緻密なメカニズムが人の体には備わっているのです。

汗をかく効果

汗をかく3つの効果
汗をかくということは、身体にさまざまな影響を与えるといわれています。
汗をかくと一体どのような効果を得られるのでしょうか。
汗をかくことで期待できる身体へのよい3つの効果をご紹介します。

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①ダイエット効果

汗をかくと得られる効果のひとつに
「ダイエット効果」
があります。

このようなことから、汗をかけば痩せるといったイメージを抱いている方も多いのではないでしょうか?

しかし、ただ汗をかけばよいというわけではなく、汗にも「痩せる汗」と「太る汗」の2種類があります。
2種類の汗のうち、「痩せる汗」と呼ばれる汗をかくことが重要です。

ダイエットにおいていかに脂肪燃焼効果を高められるかがポイントになりますが、この脂肪燃焼効果を高めるにはミネラルの存在が欠かせません。
汗は血液からできており、汗をかく際に含まれるミネラルまで一緒に流れないように、もともと再吸収機能が備わっているのです。

ところが体の汗腺が眠っている状態で、あまり汗をかく習慣がないのに大量に汗をかいてしまうと、ミネラルの再吸収機能が追いつかずに脂肪燃焼に欠かせないミネラルまで流れてしまいます。
たくさん汗をかいて痩せたつもりでも、脂肪燃焼効果の低下につながり、ダイエットには結びつかないのです。

日ごろから汗をかくという習慣を身に付けた状態で適度な汗をかくと脂肪燃焼効果が高まり、効率的なダイエットにつながります。
また、日ごろ運動をする習慣がない人は代謝が低下し、水太り体質になりがちのため、簡単な運動を取り入れ、水をたっぷりと飲み老廃物を排出して代謝がアップするよう心がけることが大切です。

さらにデトックスという観点からも、汗で老廃物を出すことがポイントです。
汗が分泌される汗腺には「エクリン腺」「アポクリン腺」の2つがあり、そのうち、アポクリン腺から出る汗はデトックス汗とも呼ばれ、タンパク質、脂質、アンモニアなどの老廃物も一緒に排出されます。
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②美容効果

スポーツをしてキラキラとした汗をかいている人は、肌が美しく見えますよね。
実は汗をかくということには、女性にうれしい美容効果も期待できます。

具体的な効果として、まずは肌が潤うことが挙げられます。
汗をかくと皮膚上にある皮脂と交わり、皮脂膜が作られますが、これは皮膚を保護してくれる天然のクリームのようなものです。
この皮脂膜があるおかげで皮膚を乾燥から守ってくれるため、みずみずしい肌の状態を維持してくれます。
しかし、大量の汗をかいてしまうと皮脂膜まで一緒に流れてしまい、かえって皮膚の乾燥を招いてしまうため、適度な汗をかくことが大切です。

次に汗をかくと肌のターンオーバーを促してくれるという効果もあります。
肌はターンオーバーといって、常に古い細胞から新しい細胞へと入れ替わりを繰り返しているのです。
この肌のターンオーバーが行われなくなると、皮膚のくすみなど肌トラブルの原因となってしまいます。
ここで重要なのが汗をかくことです。
皮膚が弱酸性になるため、皮膚表面の角質層が落ち始めます。
汗をかくことで肌の弱酸性が維持されるため、ターンオーバーが整い、美肌の維持につながるのです。
また、肌が弱酸性であるということは、外部刺激や雑菌の繁殖から肌を守ってくれるということにもなります。
つまり、肌トラブルに影響する因子を回避してくれるという観点からも美肌キープに一役買っているのです。

③健康効果

汗をかくことは健康にも良いとされています。
逆に汗をかかないと、疲労感や倦怠感など体の不調につながりやすくなると考えられているのです。
現代人は土壌や水、食品などから金属成分が体内に入りやすい環境下にいます。
この金属成分の中には、体にあまりよくないとされるものもあり、汗でしか体外に排出されません。
つまり、汗をかかずにこれらの金属成分が体に蓄積されることは、健康面にとっても良くないことなのです。

また、汗の健康効果について話す際にキーワードとなるのが「代謝」です。
運動によって筋肉量を増やすと、活動時のエネルギー消費量がアップし、痩せやすく健康的な体に近づきます。
そのため、体を動かして汗をかき、日ごろから汗腺の活動を活発化させるよう意識することが大切です。
筋肉量があがり、代謝があがれば汗をかきやすくなるというよい循環が生まれます。
食生活の乱れやストレス、運動不足、空調の効いた部屋で過ごすなど現代人は代謝が下がりやすい生活になりやすいのが現状です。
そのため、意識して汗をかけるような習慣をいかにして作れるかが健康を維持する上でも重要なポイントとなります。

また、汗が出る汗腺の数は一般的に3歳までの過ごし方で決まると考えられているのです。
空調の効いた部屋で汗をかかずに過ごすよりも、汗をかいて過ごしたほうが汗腺の数が多くなると言われています。
3歳以降は汗腺の数が増えることはありません。
汗をかかない習慣が続くと、汗腺の働きが低下し、休眠状態になってしまうため、健康のために良い汗をかくには汗腺の働きを高めておくことが大切です。